WordPressサイト構築の現在地 — 2025年のベストプラクティス
WordPressは「終わった」のか?
「WordPressはもう古い」「Next.jsやAstroの時代だ」といった声を耳にする機会が増えました。しかし、2025年現在もWordPressはWeb全体の43%以上のサイトで使用されており、CMS市場では圧倒的なシェアを維持しています。WordPressは「終わった」のではなく、「使いどころが明確になった」というのが正確な表現でしょう。
本記事では、WordPress 6.x系の最新動向を踏まえ、2025年にWordPressサイトを構築・運用するためのベストプラクティスを解説します。
WordPress 6.x の最新動向
フルサイトエディティング(FSE)
WordPress 5.9で導入されたフルサイトエディティング(FSE)は、6.x系で大幅に進化しました。従来はPHPテンプレートで管理していたヘッダー、フッター、サイドバーなどのサイト全体の構造を、ブロックエディタ上で視覚的に編集できるようになりました。
FSEの主な特徴は以下のとおりです。
- サイトエディター: テーマのテンプレートをGUI上で直接編集。PHPの知識がなくてもレイアウトをカスタマイズ可能
- テンプレートパーツ: ヘッダーやフッターなどの共通パーツを独立して管理・再利用
- グローバルスタイル: サイト全体のカラー、タイポグラフィ、スペーシングをJSON形式(
theme.json)で一元管理 - パターンライブラリ: 再利用可能なブロックパターンを登録・共有。WordPress.orgのパターンディレクトリからも取得可能
ブロックテーマ
FSEを最大限に活用するには、ブロックテーマ(Block Theme)の採用が推奨されます。ブロックテーマとは、従来のPHPテンプレート(header.php、footer.phpなど)の代わりに、HTMLベースのブロックテンプレートでサイト構造を定義するテーマです。
代表的なブロックテーマには以下があります。
- Twenty Twenty-Five: WordPress公式テーマ。FSEの機能をフル活用した設計
- Flavor: ミニマルで高速なブロックテーマ。カスタマイズの自由度が高い
- Developer Blog: 開発者・ブロガー向けに最適化されたブロックテーマ。パフォーマンスとSEOを重視した設計
ただし、既存のクラシックテーマ(PHPベース)からブロックテーマへの移行には注意が必要です。テーマの構造が根本的に異なるため、段階的な移行計画を立てることをお勧めします。
WordPressが適するケース / 適さないケース
WordPressが最適な場面
- コンテンツ更新頻度が高いサイト: ブログ、ニュースサイト、メディアサイトなど、非エンジニアが日常的にコンテンツを更新するケース
- ECサイト: WooCommerceを活用した中小規模のECサイト。プラグインで決済・在庫管理・配送管理を統合可能
- プラグインエコシステムを活用したいケース: 予約システム、会員制サイト、LMSなど、既存プラグインで実現できる要件が多い場合
- 予算・期間が限られたプロジェクト: テーマとプラグインの組み合わせで短期間・低コストに構築したい場合
WordPressが適さない場面
- 高度なインタラクティブUI: SPAのようなリッチなユーザー体験が必要な場合はNext.jsやReactが適切
- 大規模トラフィック: 月間数千万PV以上のサイトでは、静的サイトジェネレーター(Astro、Next.js SSG)の方が効率的
- 複雑なアプリケーションロジック: ユーザー認証、リアルタイム通信、複雑なデータ処理を伴う場合
- API中心のアーキテクチャ: マイクロサービスアーキテクチャでバックエンドを構築する場合
Next.js(ヘッドレスCMS)との使い分け基準
当社では、プロジェクトの要件に応じてWordPressとNext.jsを使い分けています。判断基準は以下のとおりです。
- WordPress単体: コンテンツ管理が主目的で、テーマのカスタマイズで要件を満たせる場合。更新担当者がエンジニアでない場合に最適
- Next.js単体(+ Supabase/microCMS): カスタムUIが重要で、高いパフォーマンスとSEOの両立が求められる場合。当社のコーポレートサイト(n-n.tokyo)もこの構成
- ヘッドレスWordPress + Next.js: WordPressの強力なCMS機能はそのまま活かしつつ、フロントエンドはNext.jsで自由にデザインしたい場合。WordPress REST APIまたはWPGraphQLを使ってデータを取得する
// ヘッドレスWordPressからNext.jsでデータ取得する例
// app/blog/page.tsx
async function getPosts() {
const res = await fetch(
'https://your-wp-site.com/wp-json/wp/v2/posts?per_page=10',
{ next: { revalidate: 3600 } } // ISR: 1時間ごとに再検証
);
return res.json();
}
export default async function BlogPage() {
const posts = await getPosts();
return (
<div>
{posts.map((post) => (
<article key={post.id}>
<h2>{post.title.rendered}</h2>
<div dangerouslySetInnerHTML={{ __html: post.excerpt.rendered }} />
</article>
))}
</div>
);
}
セキュリティ対策
WordPressはシェアが大きい分、攻撃対象にもなりやすいプラットフォームです。以下のセキュリティ対策は必須と考えてください。
1. WAF(Web Application Firewall)の導入
Cloudflare、Sucuri、SiteGuard WP Pluginなどを活用し、SQLインジェクションやXSS(クロスサイトスクリプティング)といった一般的な攻撃を防御します。CloudflareのFreeプランでも基本的なWAF機能が利用可能です。
2. 二段階認証(2FA)の有効化
管理画面へのログインに二段階認証を導入します。「Two-Factor」プラグインや「Wordfence Security」プラグインで簡単に設定できます。特に管理者(Administrator)権限のアカウントには必須です。
3. 定期アップデートの運用
WordPress本体、テーマ、プラグインのアップデートを定期的に実施します。自動アップデートを有効にしつつ、メジャーアップデートは事前にステージング環境でテストしてから適用するのがベストプラクティスです。
4. バックアップ戦略
日次でデータベースとファイルの自動バックアップを取得し、最低30日間保持します。バックアップ先はサーバーと異なる場所(Amazon S3、Google Cloud Storageなど)に保管します。
パフォーマンス最適化
WordPressサイトのCore Web Vitalsスコアを改善するために、以下の対策を実施します。
- キャッシュプラグインの導入: WP Super Cache、W3 Total Cache、LiteSpeed Cacheなどを使用し、ページキャッシュ・オブジェクトキャッシュ・ブラウザキャッシュを最適化
- CDNの活用: CloudflareやAmazon CloudFrontでグローバルに静的アセットを配信。日本国内向けならCloudflare(東京PoP有り)が手軽
- 画像最適化: ShortPixelやImagifyで画像を自動圧縮。WebP形式への自動変換と遅延読み込み(Lazy Loading)を有効化
- 不要なプラグインの削除: 使っていないプラグインは削除(無効化だけでは不十分)。プラグイン数は20個以下が目安
- PHPバージョンの最新化: PHP 8.2以上を使用。8.0以下はパフォーマンスとセキュリティの両面でリスク
おすすめプラグイン一覧
2025年時点で当社が推奨するWordPressプラグインを目的別に紹介します。
- SEO: Yoast SEO または Rank Math(どちらか一方のみ使用)
- セキュリティ: Wordfence Security + Two-Factor
- バックアップ: UpdraftPlus または BackWPup
- キャッシュ: LiteSpeed Cache(LiteSpeed環境)、WP Super Cache(Apache/Nginx環境)
- フォーム: Contact Form 7 または WPForms
- 画像最適化: ShortPixel Image Optimizer
- 多言語対応: WPML または Polylang
- ページビルダー: Elementor(クラシックテーマ利用時)
マネージドホスティング比較
WordPressサイトの安定運用には、マネージドホスティングの利用が効果的です。主要なサービスを比較します。
- Kinsta: Google Cloud Platform上で動作。自動バックアップ、CDN、ステージング環境が標準搭載。月額$30〜。パフォーマンスと管理画面のUXが優秀
- WP Engine: WordPress専用ホスティングの老舗。エンタープライズ向けの機能が充実。月額$20〜。セキュリティとサポートの品質が高い
- Xserver: 日本国内シェアNo.1のレンタルサーバー。月額990円〜でWordPressを運用可能。コストパフォーマンスが高く、日本語サポートが充実
- ConoHa WING: GMOインターネットグループが提供。月額880円〜。高速なLiteSpeed環境と自動バックアップが魅力
- さくらのレンタルサーバ: 月額500円〜の低価格帯。個人ブログや小規模サイトに適した選択肢
WordPress から Next.js への移行タイミングと方法
以下のような兆候が見えたら、Next.jsへの移行を検討するタイミングです。
- プラグインの競合やアップデート障害が頻発する
- カスタムPHP開発のコストがかさんでいる
- Core Web Vitalsのスコアが改善できない
- 高度なUI/UXの要件が増えてきた
- APIベースのマイクロサービスアーキテクチャに移行したい
移行の流れは以下のとおりです。
- コンテンツのエクスポート: WordPress REST APIを使用して全記事・ページ・メディアをJSON形式で取得
- CMS選定: microCMS、Contentful、Strapi、またはSupabaseなど、ヘッドレスCMSを選定
- Next.jsフロントエンド構築: App Router + Server Components構成でページを再構築
- リダイレクト設定: 旧URLから新URLへの301リダイレクトを設定し、SEO評価を引き継ぎ
- 並行運用期間: 1〜2ヶ月の並行運用で問題がないことを確認後、旧サイトを閉鎖
まとめ
WordPressは2025年でも強力なCMSですが、すべてのプロジェクトに最適というわけではありません。プロジェクトの要件、更新体制、予算、パフォーマンス要件を総合的に判断し、最適な技術選定を行うことが重要です。WordPressで始めて、成長に応じてNext.jsに移行するという段階的なアプローチも有効な戦略です。
WordPressサイトの構築・リニューアル・Next.jsへの移行をお考えの方は、お気軽にご相談ください。当社では、お客様の状況に合わせた最適な技術選定と構築をサポートしています。